会長挨拶
日本医学看護学教育学会―21世紀に医学看護学がめざすもの
会長代行・副会長 塩飽邦憲(島根大学医学部環境予防医学)
「近年、疾病構造の変化および人権意識の高まりのなかで、患者さん、住民主体の保健、医療、福祉、教育の総合化が強調されています。医学、看護学、助産学、地域看護学などの教育においても、学生が生活者主体に捉え、患者さんや地域住民の方々と触れあう全人的な教育が課題となってきました。山陰地方においては、全人的な総合医学、総合看護学を思考した教育を全国に先駆けて取り組み、多くの成果をあげてきました。しかし、学生の主体性を活かした教育方法の開発など、研究すべき多くの課題を抱えているのも事実です。このため、全人的な教育をめざした医学看護学教育の研究交流を目的に、山陰地区の医学看護学教育についての研究会を発足することになりました。日頃の研究成果にもとづく真摯な議論とともに、よりよい医学看護学教育をめざす仲間の気楽な交流の場にしたいと考えています。医学看護学に関係するすべての方に、研究会の扉は開かれています。ぜひ、気楽にご参加ください。」
本学会は、上記のような呼びかけで「山陰医学看護学教育研究会」として、山陰両県の医科大学、看護学院の教員、病院職員などが一同に会し、平成3年3月19日に島根県立総合看護学院(出雲市)で産声をあげました。その時の会員・役員は、島根県立総合看護学院と島根医科大学の教員が中心でした。
その後、役員会を中心とした会員のボランティアによる手作りで、年1回の学術学会総会を開催してきました。本年度で、第19回総会を数えることになりますが、会員も山陰地区に限定されることなく全国的に広がり、第1回の20名から現在では600名を超えました。
本学会の特徴としては、主として次のようなことをあげることができます。
- 各々の教育機関、医療機関などにおける優れた取り組みを学び合う場であること
- 従来から個別にすすめられてきた医学領域、看護学領域などの教育研究などについての隔壁を取り除き、相互連携のもとに研究交流を進める場であること
- 卒前教育機関に限らず、卒前卒後教育に関係するスタッフの生涯教育ネットワークの場であること
- チームプラクティスに関係する医学、看護、福祉、教育などの関係者が相集い、教育機関、医療機関、諸施設、地域などを包括し、貴重な総合的ケアの実践とその研究成果などを交流し、楽しく相互に学び会う場であること
- 保健、医療、福祉、医学、看護、教育などの課題と展望を明らかにしていく場であること
長年、本学会をリードしてこられた瀬戸山元一会長は2008年3月の本総会を期に会長を辞任されました。これまでの長年のご尽力に会員を代表して感謝申し上げます。役員任期は2009年3月までとなっておりますので、理事会・評議員会の決定により、塩飽が会長業務を代行させていただきます。瀬戸山会長には力は及ぶべくもありませんが、竹内副会長をはじめ、有能な理事、評議員のご支援・ご鞭撻を頂き、精一杯勤めを果たす所存です。学会員の皆様にもご協力を賜りますようお願い申し上げます。
本学会への御案内
医学と看護学の合体した研究は、少産・少子、高齢化の進展などの社会環境から、求められている緊急課題かつ最重要課題であるといえます。現在の医療を取り巻く環境変化のなかで、医学と看護学の専門性を高め、医療における関連領域の連携を深めると同時に、それ以上に、極めて人間的な温かさが医療従事者に期待されているのです。
その意味でも、医学および看護学教育は、さらなる向上がなされなければなりません。医学と看護学の共通目的は、人間の心とからだの健康を守ることであり、医学と看護学の関係は今まさに一体となり、双方の教育のなかでも、車の両輪であるとの認識のもとに相携えていかなければならないと考えます。「真に必要とされる医療を実践するための医学看護学教育とは」という命題は、関係するすべての者が思考し、学びあい、そしてその成果を推進しなければならない必要不可欠なことであると考えます。
「日本医学看護学教育学会」は、このような科学的ヒューマニズムの醸成を目的として設立され、会員をはじめとして、関係者のご努力とご支援により着実に前進しています。
『患者さんや地域の人々と触れ合う将来の医療を捉え、全人的な卒前卒後教育の確立が叫ばれるなか、全国に先がけた試みで注目を集めている(島根日々新聞)』との評価も受けるなか、会員の一人ひとりが、汗を流してみんなで育ててあげる、この素晴らしい本学会がますます発展することを心から祈念すると同時に、全国の皆様方の本学会への積極的な参画を期待しています。
