学会誌  

『日本医学看護学教育学会誌』 第10号 (2001年6月10日発行)

プラセボ反応の薬理学的考察とその看護、医療への応用 食見忠弘
学生の自発性を引き出す介護福祉実習の支援システム 伊藤智子ほか
血液透析導入期指導へのクリティカル・パスの導入 藤原京子ほか
医学生と看護学生の環境問題への関心と課題 福澤陽一郎ほか
翻訳の解剖--アメリカ英語における医療語の場合(2) 田中芳文

プラセボ反応の薬理学的考察とその看護、医療への応用

食見忠弘

島根医科大学薬理学講座

概要(Abstract)

プラセボ反応は薬理的非活性物質(プラセボ)を投与することによってもたらされる効果であり,その反応には薬を使うことに基づく非特異的要因と医療を受けることに基づく非特異的要因とからなる真のプラセボ反応に,自然治癒の要因が加わっている.プラセボは臨床薬効評価試験において標準薬(基準薬)に比べて遜色のない効果をしめすことがある."痛み"の実験系において,プラセボ投与によってもたらされるプラセボ反応は鎮痛効果としてしめされるが,その生理学的機序として不安,認知,条件づけの三つの機序が考えられており,生化学的機序として内因性オピオイド系の関与が報告されている.薬物の投与によってもたらされる臨床効果には真の薬効の他にプラセボ反応が加わっており,臨床効果を最大限のものとするためにはプラセボ反応を有効に利用することが大切である.プラセボ反応を科学的に評価しつつ,その反応を看護,医療に有効に利用することは病気の回復や症状の改善に大きく寄与すると考える.

キーワード(Keywords)

プラセボ プラセボ反応 内因性オピオイド系 看護 医療への応用
Placebo Placebo effects Endogenous opioid system Application for nursing and health care

学生の自発性を引き出す介護福祉実習の支援システム

伊藤智子,濱田麗子,田中量子,高田美裕子

国際医療福祉総合学院出雲校

概要(Abstract)

介護福祉士の養成は,来るべき超高齢社会における高齢者・障害者ケアのマンパワーとして期待が高まっている.国際医療福祉総合学院出雲校は,介護福祉実習目標を明確にした介護福祉士教育を行なっているが,学生の実習意欲,実習施設の教育環境や実習指導能力に課題があり,実習支援システムの開発が必要となっている.このため,「倫理」をはじめとする実習教育目標7項目,実習態度,教員・実習指導者の役割に関する学生の自己評価と実習指導者による他己評価の分析を行なった.その結果,1年生の教育目標到達度を高めている要因は,事前学習,積極的な態度,実習日誌の活用,実習グループ内の人間関係づくり,専任教員による実習巡回,指導者とのコミュニケーション・指導レベルと考えられた.また,2年生では,積極的な実習態度,事前学習,指導者と学生のコミュニケーションが関与していた.実習指導者からは,学生の積極的な実習態度や意欲への要望が多かった.また,介護保険制度の影響を受け,実習指導体制はますます多様になっていた.有効な実習支援方法として,1)早期からの実習グループ内の人間関係づくり,2)学生にわかりやすい実習目標プリゼンテーション,3) チューター制による内発的動機づけの強化,4)実習指導者と学生の相互学習,5)実習指導者ネットワークシステムの構築が挙げられる.

キーワード(Keywords)

介護福祉実習 自己評価 実習指導者 相互学習 ネットワークシステム

血液透析導入期指導へのクリティカル・パスの導入

藤原京子,和田照子,岡田正美,奥田友子,藤原ヒロコ,栗原由美

島根県立中央病院

概要(Abstract)

透析導入期は,患者がセルフケアを確立し,QOLを高めながら生活していく上で効果的な指導が重要である.導入期の指導は,患者が希望をもって生涯続く治療に臨めるか否かを左右する場合もある.島根県立中央病院での血液透析導入期指導は,透析教育プログラムを使用して行っているが,1999年1月-8月の血液透析導入期の指導状況を調査したところ,指導方法の標準化ができていない,指導効果の評価ができていない,病棟との連携が不十分という問題があった.そこで,系統的に効率よく患者指導を行うことを目的とし,血液透析導入期のクリティカル・パス(CP)を作成した.2事例に活用し,バリアンス評価を行った.その結果,(1)バリアンス評価を行うことにより問題を明確にでき,(2)患者指導の強化ができた.

キーワード(Keywords)

血液透析導入期 クリティカル・パス 患者指導 バリアンス

医学生と看護学生の環境問題への関心と課題

福澤陽一郎,狩野鈴子

概要(Abstract)

平成10年に医学生82人と看護学生74人に同一の環境問題に関する自記式のアンケートを実施した.アンケート内容は,環境問題で重要と思うもの,そう考えた理由,環境にやさしい自分の取り組みである.医学生と看護学生が重要とした環境問題は,ほぼ似た内容であったが,医学生がオゾン層破壊や地球温暖化などの地球規模の環境問題に関心があるのに対して,看護学生は自分達に身近な環境問題のゴミ問題やダイオキシン,環境ホルモンをあげた学生が多かった.環境にやさしい取り組みは,医学生が一人当たり平均3.8、看護学生が4.2実行しているが,ポイ捨てをやめる,分別収集,リサイクルが共通して多い以外に,環境問題への関心と同様に医学生は,地球規模の問題,看護学生は,身近な環境保全への取り組みを実行していた.今回の医学生,看護学生への環境問題に関する調査結果をふまえ,環境に対する正しい認識と責任ある態度,環境を保全するための実践的な行動力を身につけるための環境教育が大学全体で取り組まれることが重要である.

キーワード(Keywords)

環境問題 医学生 看護学生 アンケート調査 関心
Environmental Disruption Medical Students Nursing Students Questionnaire Concern

翻訳の解剖--アメリカ英語における医療語の場合(2)

田中芳文

島根県立看護短期大学

概要(Abstract)

医療語が数多く見られる米国の小説とその翻訳作品を比較分析することによって,医療語の翻訳の実態を明らかにするとともに,辞書における医療語についての記述を検討した.

キーワード(Keywords)

医療語 病院俗語 アメリカ英語 アメリカ文化

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学術学会の予定

第28回日本医学看護学教育学会学術学会

平成30年3月3日(土)
サテライトキャンパスひろしま(広島市中区大手町1丁目5-3)

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第20回日本医学看護学教育学会学術セミナー

平成29年12月2日(土)
島根県立石見高等看護学院 大講義棟(島根県益田市昭和町20番15号)
テーマ:「施設から在宅へ―多職種協働による医療・介護の連携―」

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