『山陰医学看護学教育研究会誌』
第5号(1995年9月 1日発行)
医学教育における医学生の立場性の認識と主体性の確立過程
島根医科大学第2環境保健医学教室
概要(Abstract)
医学生が医学教育において主体性を確立し、医師と患者、さらに医学生と家庭健康管理実習における訪問家庭との相互の関係を理解することが、教育効果を高める上で重要と考え、この目的に沿ってパネルディスカッションを企画した。医学部4年生を対象に、パネルディスカッションのテーマを、「高齢化社会ちプライマリ・ヘルスケア」とし、まず討論に臨む準備段階として、医学生が高齢化社会の到来をどのように認識しておるのかを明らかにするために、自分自身の老後にとって、また両親をみる家族として、さらに将来医師になるものとしての高齢化社会の受け止め方と、その中での自分の役割は何かを考えた。医学生にとって高齢化社会は、自らの老後の問題という認識は薄かった。一方、両親の老後についての関心は高く、62%の学生が両親の面倒を見たいと答えたが、具体的に何をするのか、自分自身の役割についても認識は男女間で大きな隔たりがあった。次に高齢化社会における医師の役割として、プライマリ・ヘルスケアに関しては、70%の学生が関心を示していたが、自分の将来の進路として意識して考えている学生と、そうでない学生との間で、具体像のイメージに差が認められた。まずこの認識の違いを明らかにし、その上でパネリストを交えて「問題解決」を指向して、すなわち今回のテーマである高齢化社会を如何に迎えるのか、その中で自分はどのような役割を果たすべきかを論議することで、立場性の認識を深め、主体性の確立を促すことができた。この教育方法は、単に知識を効果的に得るためだけでなく、自らの問題として主体的に考えていく新たな動機づけにも有効であり、創造的人間関係、学習態度の形成にも役立つものと思われる。
キーワード(Keywords)
医学教育 コミュニティ 主体性 立場性 問題解決
