概要(Abstract)
この度、ナホトカ市行政府から医療交流の一環として島根県に対し患者の治療依頼があり、当病院で引き受けることとなった。
外国からの患者をこのような形で看護をするのは初めてであり、コミュニケーションの基盤となることばや生活習慣が異なることから看護に困難な点が多かった。
この患者の看護を通して、今後の医療交流の推進にあたり、得られた学びと課題は以下の3点である。
1. 基本的生活習慣に関する患者のニードの充足のためには、その国の食習慣や生活習慣を事前に学習し理解しておくことが必要であり、なるべく日常生活に近い環境を提供して快適な生活を保障することに努めなければならない。
2. 患者とのコミュニケーションを図るために、事前に露日対訳表を準備した。しかし、それだけでは不十分であり身振り、手振りやお互いの表情を汲みとる努力をした。言葉は通じなくてもお互いの真心、誠意により信頼関係は築かれていくものであり、国と国の交流といえどもその基本は個人と個人の小さな努力の積み重ねによるものであることを確信した。
3. 患者の受け入れは、国と国の関係で考える必要があり、マスコミの対応や患者の院外行動、チームプレーによる医療の促進など、病院としての一定のルールづくりが求められる。